江戸時代から伝わる盆提灯「岐阜提灯」の魅力とは?

江戸時代から伝わる盆提灯「岐阜提灯」の魅力とは?

滝田商店が取り扱ってきた盆提灯の多くは、岐阜県美濃地方で作られる「岐阜提灯」です。

盆提灯の産地として全国にその名が知られる岐阜には、この地で育まれてきた和紙の文化と、300年以上受け継がれてきた職人の技があります。今回はその産地・歴史・素材・制作工程まで、岐阜提灯の全体像をご紹介します。

岐阜ってどんなところ?

岐阜県美濃地方は、昔から優れた和紙の産地として知られてきました。伝統工芸品として「岐阜提灯」「水うちわ」「美濃和紙(みのわし)」が今も受け継がれており、その土地の文化と産業が密接に結びついています。

市内中心部を流れる長良川では「長良川の鵜飼漁」が行われ、金華山山頂には「岐阜城」がそびえる水と山に育まれた豊かな土地柄が、繊細な工芸品を生む土壌となってきました。

左:水うちわ、右:大正時代に作られた岐阜提灯

鵜飼漁のシーズンには、市内の軒先に岐阜提灯を飾る風景が今も見られます。提灯は、この地の暮らしにごく自然に溶け込んでいるのです。

岐阜提灯とは?その歴史と特徴

国の伝統的工芸品に指定された盆提灯

岐阜提灯は、岐阜県美濃地方で作られる提灯で、国の伝統的工芸品にも指定されています。清涼感のある秋草や風景が描かれた繊細な火袋(ひぶくろ)が最大の特徴で、お盆のお飾りとして長く親しまれてきました。

江戸時代に始まった発祥の物語

発祥については諸説ありますが、江戸時代(1751年頃)に岐阜町の提灯屋十蔵が制作した提灯を尾張藩を通じて幕府に献上したのが始まりとされています。

その後、1800年頃になると草花を描いた提灯が広く普及し、1830年頃にはそれらが「岐阜提灯」と呼ばれるようになりました。長年にわたって受け継がれてきた、歴史ある工芸品です。

現代の岐阜提灯

江戸時代からの伝統を守りながら、現代の暮らしに寄り添うかたちへと進化し続けているのが岐阜提灯の特長です。

大内行灯

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御所提灯

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モダン盆提灯

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大内行灯(おおうちあんどん)や御所提灯(ごしょちょうちん)といった定番の形に加え、近年ではコードレスタイプ、組み立てが簡単な筒型提灯、インテリアとして飾れるモダンなデザインの提灯なども人気を集めています。

岐阜提灯を構成するパーツ

岐阜提灯は、複数のパーツで構成されており、それぞれの専門職人が様々な工程に携わって一つの提灯が完成します。以下では、主要なパーツごとにその素材をご紹介します。

火袋

火袋(ひぶくろ)の骨格をなす「ヒゴ」は、岐阜提灯の身上である「軽さ」と「強度」を左右する重要な要素です。かつては竹でしたが、現在は耐久性に優れた針金やアルミに紙を巻いたヒゴが主流です。

火袋に使用する和紙は、繊細な薄さが特徴です。岐阜提灯の和紙は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「本美濃和紙」をルーツに持ちます。この和紙の薄さが、灯りをともした際に柔らかな光を美しく透し、空間を優しく包み込みます。

手・足

手・足は、提灯全体の格調や雰囲気を左右する重要なパーツです。岐阜提灯は木材にもこだわり、商品によって黒檀調やケヤキ調の天然木を使い分けています。 なお、提灯には天然木を使用したものとプラスチック製のものがあり、それぞれに異なる魅力があります。

口輪

火袋の上下についている「口輪(くちわ)」は、3枚の板を貼り合わせ、曲げわっぱのように美しく加工されたパーツです。この口輪には職人の技術が凝縮されており、岐阜提灯を手にされた際にはぜひ注目してほしいところのひとつです。

岐阜提灯の製造工程

STEP1 和紙の加飾

和紙への絵柄の付け方には2種類あります。

ひとつは、ヒゴに貼る前の和紙に型を使って絵を刷る「摺り込み」。もうひとつは、ヒゴに貼った後の和紙に手描きで絵を付ける「絵付け」です。

「摺り込み」は岐阜提灯ならではの伝統技法です。型を用いて絵柄を施すことで、草花や風景の繊細な文様を美しく均一に表現することができます。

STEP2:火袋の制作(ヒゴ巻き)

「張り型」にヒゴを螺旋状に巻き付けていきます。この際の力加減一つで仕上がりの線が歪んでしまいます。提灯の種類に合わせて太さや重さを微細に変える熟練の指先の感覚が、後の工程すべてを支える強固な土台を作るのです。

STEP3 火袋の制作(和紙張り)

ヒゴの上に刷毛でまんべんなく糊を付け、一間ずつ和紙を乗せて刷毛でなでながら張り付けます。和紙を張った後は、継ぎ目が目立たないように余分な紙を一間ずつ丁寧に切り落とします。この「切り落とし」は、岐阜提灯ならではの美しい仕上がりを左右する、職人の熟練した技術が求められる工程です。

すべての和紙を張り終えたら火袋を乾燥させ、内部の張り型を分解して抜き取ります。その後、ヘラを使って一本一本のヒゴに沿って丁寧に折り目を付け、火袋を畳めるように仕上げます。

STEP4 仕上げと検品

加工された手や足、口輪などの木地パーツには、塗り師や蒔絵師がそれぞれ丁寧に仕上げを施します。高盛蒔絵などの伝統技法を用いた華やかな仕上げも、岐阜提灯の魅力のひとつです。

組み上がった火袋や各パーツは、すべて検品を行ってから箱詰めされます。木製の手や足は実際に組み立てて確認し、差し込みの精度や仕上がりに問題がないことを確かめています。

滝田商店が岐阜提灯に込める想い

盆提灯は、故人への想いを灯すものです。だからこそ、産地・素材・職人の技まで理解した上でお選びいただければ幸いです。

岐阜の水と風土が育んだ和紙、職人が一つひとつ積み上げる工程、そして300年以上にわたって守られてきた技術。その積み重ねが、岐阜提灯の品格を作りあげています。

今年のお盆に向けて盆提灯をお探しの方は、東京・浅草にある滝田商店の店頭またはオンラインショップでご覧ください。